オメガのスピードマスターといえば、人類で初めて月に行った時計「ムーンウォッチ」として、時計好きなら一度は憧れる1本ですよね。でもいざ買おうと思って調べはじめると、「ヘサライトとサファイアって何が違うの?」「種類が多すぎてどれを選べばいいの?」と、けっこう迷ってしまうんです。
この記事では、スピードマスターの歴史とムーンウォッチの由来から、2026年7月時点のオメガ公式サイト掲載の最新定価、そして一番の悩みどころである「ヘサライト vs サファイア」の選び方まで、まるっと整理していきます。あわせて、意外と勘違いされがちな「NASA公認」まわりの誤解もスッキリさせておきましょう。
スピードマスターとは|1957年生まれ、月に行った唯一の時計
まずはスピードマスターがどんな時計なのか、その歴史をサッと押さえておきましょう。ここを知っておくと、なぜ今もこのモデルが特別扱いされるのかが腑に落ちますよ。
初代CK2915は1957年、レース用として登場した
スピードマスターの原点は、1957年に発表されたCK2915です。実はこれ、もともと宇宙用ではなくモータースポーツ用に作られた時計なんです。ベゼルにタキメーター(速度計算目盛り)を備えた世界初のクロノグラフ腕時計として登場し、「スピード」の名を冠しました。
この時点では、まさか月に行くことになるなんて、オメガ自身も想像していなかったんですね。
1965年、NASAの過酷テストを唯一通過した
転機は1965年です。NASAが有人宇宙ミッション用の時計を探して、複数ブランドの時計を高温・低温・真空・衝撃・振動といった過酷なテストにかけました。そして唯一そのすべてを生き残ったのが、スピードマスターだったんです。
こうして1965年3月1日、スピードマスターはNASAの「飛行資格」を正式に取得。その約3週間後の3月23日にはジェミニ3号のミッションで宇宙デビューを果たしました。同じ1965年のジェミニ4号では、エドワード・ホワイトがアメリカ人初の宇宙遊泳を行った際にも、その手首にスピードマスターが巻かれていました。
1969年、アポロ11号で”ムーンウォッチ”になった
そして1969年7月、アポロ11号による人類初の月面着陸。このミッションに同行したことで、スピードマスターは「ムーンウォッチ」と呼ばれるようになりました。バズ・オルドリンが月面で腕に着けていた写真は、あまりにも有名ですよね。
これまで月面を歩いた人類はたった12人。その全員がスピードマスターを着けていたという事実が、この時計の信頼性を何よりも物語っています。現在もNASAをはじめ各国の宇宙機関が、船外活動用として認定を続けている——それがスピードマスター ムーンウォッチなんです。
【要注意】「スピードマスター全部がNASA公認」ではありません
ここで、多くの記事が混同している大事なポイントを整理しておきます。「スピードマスター=NASA公認の宇宙時計」というイメージが強いあまり、すべてのスピードマスターが宇宙認定を受けていると誤解されがちなんです。
でも実際にNASAが1965年に認定し、今も船外活動用に認めているのは、手巻きの「ムーンウォッチ プロフェッショナル」の系譜だけです。同じスピードマスターの名前がついていても、後述するレーシングや’57、ダークサイド・オブ・ザ・ムーンといったモデルは、「宇宙認定モデル」ではありません。デザインの source は共有していても、NASAテストを通ったのはプロフェッショナルなんですね。
もう一つ、よくある勘違いが「ムーンウォッチ=自動巻」というもの。ムーンウォッチ プロフェッショナルは、月に行った当時と同じく今も手巻きです。自動巻きなのはレーシングなどの別系統。ここも購入前に押さえておきたいポイントです。
現行ムーンウォッチ プロフェッショナルの定価一覧【2026年・公式】

それでは、一番気になる定価を見ていきましょう。以下はオメガ公式サイト(omegawatches.jp)に掲載されている2026年7月時点の定価(税込)です。ムーンウォッチ プロフェッショナルは、風防(ガラス)とストラップの組み合わせで4モデルが用意されています。
| モデル(型番) | 風防 | ストラップ | 定価(税込) |
|---|---|---|---|
| 310.32.42.50.01.001 | ヘサライト | ナイロン | 1,111,000円 |
| 310.30.42.50.01.001 | ヘサライト | ステンレスブレス | 1,166,000円 |
| 310.32.42.50.01.002 | サファイア | レザー | 1,287,000円 |
| 310.30.42.50.01.002 | サファイア | ステンレスブレス | 1,342,000円 |
ケース径はいずれも42mm。搭載ムーブメントは手巻きのキャリバー3861で、コーアクシャル脱進機を備えたマスター クロノメーター認定(METAS)、耐磁15,000ガウス、パワーリザーブ約50時間、毎時21,600振動(3Hz)というスペックです。
※上記はオメガ公式サイト(omegawatches.jp)で確認した2026年7月時点の税込定価です。価格は改定される場合がありますので、最新の価格は公式サイトの各製品ページでご確認ください。
白ダイアルや2026年新作も登場
定番の黒文字盤に加えて、宇宙服からインスピレーションを得た白ダイアルモデル(310.30.42.50.04.001/ステンレスブレス)も公式ラインナップに並んでいて、定価は1,364,000円(税込)です。
さらに2026年には、ポリッシュ仕上げの黒文字盤に白のサブダイアルを組み合わせた「ブラック&ホワイト(リバースパンダ)」ダイアル(310.30.42.50.01.004)が新たに加わりました。ステンレスと18Kムーンシャイン™ゴールドの2種が用意されています。こちらの最新の税込定価は、公式サイトの製品ページでご確認くださいね。
ヘサライト vs サファイア|スピードマスター最大の選びどころ

スピードマスターを買うときに、みんなが一番悩むのがこの「ヘサライト vs サファイア」なんです。同じムーンウォッチ プロフェッショナルなのに、この2つで性格も価格もけっこう変わってきます。整理してみましょう。
| ヘサライト | サファイア | |
|---|---|---|
| 風防の素材 | ヘサライト(強化樹脂) | サファイアクリスタル |
| 裏蓋 | ソリッド(シーホースの刻印) | シースルーバック(ムーブメントが見える) |
| 12時のΩロゴ | プリント | メタルアプライド |
| 傷への強さ | 付きやすいが磨けば消える | 非常に強い |
| キャラクター | 当時のオリジナルに忠実 | 現代的で高級感 |
| ブレス版の定価 | 1,166,000円 | 1,342,000円 |
ブレスレット版どうしで比べると、その差は176,000円。この差額をどう見るかが、選び方の分かれ目になります。
ヘサライトを選ぶ人
ヘサライトの風防は、実は月に行った当時の仕様に由来しているんです。万一割れても破片が飛び散りにくいという理由でNASA仕様に採用されたもので、「安物のプラスチック」では決してありません。むしろ”オリジナルの正統”という位置づけなんですね。ドーム状の風防が生む温かみのある見え方や、宇宙ロマンをそのまま身に着けたい人には、ヘサライトがぴったりです。価格が最も抑えられるのも魅力ですよ。
サファイアを選ぶ人
一方のサファイアは、なんといってもシースルーバックからキャリバー3861の美しい機械が見えるのが最大の魅力。傷にも強く、日常使いでの安心感は抜群です。歴史のロマンより、機械式時計としての完成度や高級感、実用性を重視したい人には、こちらがおすすめです。
スピードマスターの中古相場|実は”定価割れ”が基本
「高級時計だから資産になるのでは?」と期待して調べる方も多いのですが、ここは正直にお伝えしておきますね。現行スピードマスターの中古相場は、定価を下回るのが基本です。
中立的な相場データによると、現行ムーンウォッチ プロフェッショナルの中古は、おおむね定価の75〜90%程度で取引されています。ロレックス デイトナやパテック フィリップのスポーツモデルのような「買った瞬間に定価以上」というプレミアは、基本的には付きません。これは現代の高級時計としてはごく一般的な値落ちで、スピードマスターが悪いわけではないんです。
裏を返せば、投機的な過熱と無縁だからこそ、純粋に「欲しいから買う」「着けて楽しむ」ができる時計とも言えます。資産価値の観点で高級時計を見比べたい方は、高級時計は資産になる?値上がりするモデルと定価割れの実態もあわせてご覧ください。ロレックスやパテックとの立ち位置の違いがよく分かりますよ。
例外は生産終了の限定「スヌーピー」
とはいえ、例外もあります。それが歴代の限定モデル「スヌーピーアワード」系です。生産終了しているうえに人気が高く、中古市場では大きなプレミアが付いています。とくに2015年の2代目は、当初の定価から数倍という水準で取引されることも。こうした限定モデルは、一般の現行モデルとはまったく別の値動きをすると理解しておきましょう。
※中古相場は、オメガ公式が掲載しているのは定価のみのため、中立的な相場集計(WatchCharts、Chrono24、腕時計投資.comなど)と正規販売店・中古専門店の実勢をクロスチェックした2026年時点の目安です。相場は日々変動し、個体の状態や付属品で大きく動きますので、あくまで参考としてご覧ください。
こんな人にスピードマスターはおすすめ
ここまでを踏まえて、スピードマスターがどんな人に向いているのか、整理してみましょう。
- 宇宙・月のロマンに惹かれる人:唯一無二の物語を持つ時計。所有する喜びは格別です
- 初めての本格機械式クロノグラフが欲しい人:手巻きで機械式の面白さを存分に味わえます
- 資産性より「着けて楽しむ」を重視する人:定価割れが基本だからこそ、気負わず使えます
- 普遍的なデザインを長く使いたい人:60年以上変わらないアイコンなので、流行り廃りがありません
一方で、海やプールでも気兼ねなく使える防水性を重視するなら、同じオメガのダイバーズウォッチも候補になります。コレクションごとの違いと定価はオメガ シーマスターの選び方で整理しています。
スピードマスターに関するよくある質問
ムーンウォッチは手巻きですか、自動巻きですか?
ムーンウォッチ プロフェッショナルは手巻きです。月に行った当時と同じスタイルを守っています。毎日巻く手間はありますが、それも機械式時計を持つ楽しみの一つですよ。自動巻きが良ければ、レーシングなど別系統のモデルが候補になります。
ヘサライトとサファイア、初めてならどっちがいい?
「歴史そのものを身に着けたい」ならヘサライト、「機械美と実用性・傷への強さ」を取るならサファイアです。迷ったら、価格が抑えめでオリジナルに忠実なヘサライト(ブレス版で1,166,000円)から入る方が多い印象です。
スピードマスターは資産になりますか?
現行モデルは中古が定価の75〜90%程度で、基本的には値上がりを狙う時計ではありません。値上がり益より「実用と満足感」で選ぶのが正解です。ただし生産終了の限定モデル(スヌーピー等)は例外的にプレミアが付いています。
スピードマスターの定価はどこで確認できますか?
オメガは公式サイト(omegawatches.jp)に定価を掲載しています。本記事の価格も公式サイトで確認した2026年7月時点のものですが、改定される場合があるので、購入前には公式サイトの各製品ページで最新価格をご確認ください。
まとめ
- スピードマスターは1957年生まれ。もとはレース用だったが、1965年にNASA公認を得て月へ
- NASA公認・宇宙認定なのは「ムーンウォッチ プロフェッショナル」の系譜だけ(全モデルではない)
- ムーンウォッチ プロフェッショナルは手巻きキャリバー3861、42mm、マスター クロノメーター認定
- 公式定価(2026年7月時点)はヘサライト111.1万〜116.6万円、サファイア128.7万〜134.2万円
- 最大の選びどころはヘサライト(オリジナル忠実・最安)vs サファイア(機械美・実用・シースルーバック)で、ブレス版の差は17.6万円
- 現行の中古相場は定価の75〜90%程度で基本は定価割れ。限定スヌーピーのみ例外的にプレミア
スピードマスターは、資産価値で語られがちな昨今の高級時計の中で、「純粋に憧れて、着けて楽しむ」という時計本来の喜びを思い出させてくれる1本です。月に行った唯一の時計という物語は、何ものにも代えがたい価値ですよね。まずはヘサライトとサファイア、どちらの世界観に惹かれるか——そこから選びはじめてみてください。
※本記事のスペック・型番・定価はオメガ公式サイト(omegawatches.jp/omegawatches.com)で確認した2026年7月時点の情報です。中古相場は公式が非掲載のため、複数の中立的な相場集計と正規販売店・中古専門店の実勢をクロスチェックした目安です。価格・ラインナップは改定される場合がありますので、最新情報は公式サイトおよび正規販売店でご確認ください。